リズム感のいい人は、曲を聴いたらすぐに反応して体が動きます。足・腰・手、体全体で乗りをつかみますので、そういう人は首の動きが大体同じような動きを示す傾向があるように思います。NHKの『おげんさんといっしょ」で高畑充希さんを見たときに、この人もそのような首の動きをしていて、リズム感がいいなあとびっくりしました。
「ダンスが上手い」のと「リズム感がある」のは同義ではありません。ダンスの上手い友達が自分はリズム感が悪いと言っていたことがありびっくりしたことがあります。ダンスはカウントに合わせて決められた振り付けを再現するもので、テンポには乗っていますが、リズムに忠実に乗っかっているかといえば、そうではないものだからです。
できるミュージシャンはたいがい、天然でリズム感を持っているのでそれを演奏で伝えることはできます。そういう人がリズム感の良くない人に対して、具体的にどうしたらリズムに乗れるのかを口頭でサゼッションすることはなかなか難しいように思います。
僕も講師を始めて数年は「強拍と弱拍があってね」なんて高邁に語ったり、「一拍目を強く歌って!」なんて指導したりしましたが、直後の生徒さんの歌を聴いて「あちゃ〜違うなー!」と感じて焦った記憶があります。
さて、では「リズムに乗る」ってそもそも何なんでしょう?
その曲の中で「目立つところ」と「目立たなくてもよい」ところを、いい具合に区別して繋げるようにして演奏すること、ではないかな?と思っています。
先ほど「強拍弱拍」と言いましたが、それが曲にうねりを作ってメリハリをつける要因の大きなものとなっています。ただ、「強い弱い」というのは、きっとピアノの指導者の発想で、歌は音色を変えることができるので、その限りではないと思うのです。
それゆえに「強・弱」を「目立つ・目立たない」に置き換えてみました。
では、「目立つところ」と「目立たなくてもよいところ」とは?どういうところなのでしょうか?
リズムの面から目立つところは1拍目です。そこから始まりそこで終わる。だからおのずと目立ってしまうところです。
メロディーは小節の1拍目から始まることもあれば、それ以外のところから始まることも多々あります。
一節、一息といったほうがいいのかな?ひとくくりで歌う一連のフレーズがある。そのフレーズが例えば2小節にまたがっている。どちらかの小節の「一拍目」に音が乗っかっている時、その音は目立たせたい音です。
それ以外のところの方が目立つことがあるとすれば、一拍目の音よりも相対的に高い音程の音が鳴っている時ぐらいしか思いつきません。
つまり、「一拍目」に音が乗っかっている時はそこが一番目立ち、それ以外は目立たない箇所ということになります。
例外はあります。けど、基本はこれです。
目立たせ方、歌い方のアプローチと言えばいいのかな?技法も歌のジャンルなどで違いはありますが、そこを目立たせるようにその音を扱うという姿勢は変わらないと感じます。
まずは、4拍子ならば1、2、3、4とカウントし、3拍子ならば1、2、3とカウントし、テンポに体を合わせて乗る。そして、どこが「1」なのかを常に意識して曲を感じてみてください。
そうすると、一拍目に乗っかっている音たちが目立っていることにきっと気づいていただけると思います。
リズムに乗る、乗って歌う、演奏するのは、まずはそこから始めてみてください。